Story of Coretol


この世界には8つの属性と国がある。
火、水、地、氷、雷、風、光、闇が。そして、それぞれの属性につき一つの国が。
属性の魔力を宿した魔結石というものがある。ひとえに魔結石といっても3つ程種類がある。

まず人々に身近な小石~つぶてほどの欠片である<魔石>。

魔石よりも大きく、魔力の純度が高い<大魔結石>。
これは各属性に一個ずつ、“八個”のみ存在し、国の魔力源でもある。

そして全ての魔力の根源と言われる<サナトの魔結晶>である。
大陸の中心にあり、<死敗者の使徒>という団体により護られている。

かつて大きな大戦があった。
大陸の交通と交易の要所として栄えた水の国が、奴隷と肥沃な土地を求めて氷、風の国と連合軍を結成し、地の国に攻め込んだ。
地の国は火の国からの援軍と共に徹底抗戦した。戦争は10年もの間続いた。

勝ったのは連合軍。
これでようやく平和と活気が戻る

…はずだった。
ゴブリンという種族は戦闘を何よりも好む。老若男女、全国民が血に飢えていた。
そんな彼らが10年もの間徹底的に抗戦するとどうなるか。誰も彼もが戦場に飛び出し、結果…壊滅状態に陥る。
敗走したゴブリン達は大陸各地に散らばっていき、元々の街に残ったのは族長と一部の者だけだった。
水の国は目的の一つである土地は手に入れることはできた。 しかしもう一つの、奴隷は手に入れることが出来なかった。 働き手である男達も兵士として徴兵され、5分の2ほどが戦死している。
農作物の収穫量も減り、経済が滞った。
交易の要所が衰退することで大陸全体の貿易が回らなくなってしまった。


大戦から約20年。今なお各国に厳しい状態が続いている。回復しかけている国もあるが、
崩壊寸前の国もある。

もう滅びるしか道は無いのか…

しかしこの大陸にはとある2つ伝承がある。

「大魔結石を砕くことで膨大な魔力を解放することができる。その全てをサナトの魔結晶に注いだ時、大地はその色に染まるだろう」

「異界の者が現れた時、サナトの聖霊が顕現する」

というものである。前者について“色”とはすなわち“属性”であり、大陸を一つの属性で包むことができる…と考えられている。
大陸全土が自分達の属性になれば、自国には圧倒的有利を、相手国には不利を敷くことができる。
しかし、あくまでも伝承であるため不確かであり、国の根本にある大魔結石が無くなって、かつ何も起こらないとなれば確実に国が滅んでしまう。
各国そう考えていたため、どんなことが起ころうともそれは今までは実行されなかった。
後者についてはあまり研究されておらず、知る者も少なくなっていた。

しかし状況が変わった。聖霊が目覚めたのである。
ーー伝承は少し間違っていた。
異界の者に呼応して聖霊が目覚めるのではなく、大陸の危機に聖霊が目覚め異界の者を呼ぶ…これが正しい過程なのだ。

伝承の内一つが現実のものとなった。それが意味するのは、もう一つの伝承も正しい可能性が十分にありえるということ。

「各国浮き足立ち、最早いつどの国が実行してもおかしくない程に緊張が高まっています。

…目覚めた理由は私にもわからないのです。だからいったいどういった危機が迫っているのか、それを知ることはできません。ただどうか…どうかこの世界を救ってはもらえませんか…?」